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養生管理のポイント ~施肥~

公開日: : 最終更新日:2017/03/14 スポーツターフ, サッカー芝ブログ

養生管理のポイント ~施肥~

マグロちゃん:
「養生管理のポイント」シリーズ第三弾は「施肥」だね。今回はそこに絞ってやろうか。
でも、前回の養生管理シリーズで伝えた「芝刈り」と同様に、施肥って養生管理もさることならが維持管理においても重要なテーマなので、その辺りについても整理しておこうか。
では、施肥について説明頼むね、クメちゃん。

クメちゃん:
はい(^_^;)
施肥とは作物に肥料を与える行為ですが、その作物を正常に生育させるためには、土壌中の養分状態を作物の要求する状態に調節することはとても大事です。
それに、造成初期段階での芝生は伸長していく上において、通常の維持管理状態にある芝生よりも、かなりの栄養分が必要です。

マグロちゃん:
そうそう、何もしないと土壌中の養分なんてどんどん不足していくからね。だから畑の作物に肥料を与えるのと同じように、芝生にも肥料を与える行為は大切だよね。
そういう観点から、施肥は年間を通じて良好なグラウンドコンディションを保つ上での重要かつ基本的な管理作業の一つに位置付けられているんだよね。
では、先ず養生管理における施肥のポイントってあたりから解説してくれるかな。クメちゃん。

クメちゃん:
はい(^_^;)
養生管理においての施肥、つまり肥料散布作業に関しては、有機性化成肥料を1回/月の割合で計画することが重要です。
この肥料は即効性もあり、生長していこうとしている芝生にとっては素早く吸収できる栄養分なんですね。
これは通常の維持管理についても利用が多く、特に痛んだ芝生を素早く回復させる、或いは耐性を高めるためにはこういった即効性あるの肥料を使用するんです。
また、そうではない場合は緩効性の肥料を使用し、ゆっくり効かせていくなどの施肥計画が重要となります。

芝生養生管理(液体肥料散布状況)

芝生養生管理2(細粒肥料散布状況)

マグロちゃん:
なるほどね、先ずは即効性の高い肥料ということだね。その施肥計画が重要だと。
それ以外のポイントではどうかな。

クメちゃん:
はい(^_^;)
肥料の効果が切れ目がないようにすること、だから1 回の施肥量より回数を増やす方が効果的だと言えます。
それと、全体に均一に散布することは重要ですが、特に傷んでいる部分には多めに散布し、施肥後はたっぷりと散水することですね。
それと、春秋はリン酸の多い肥料、夏は窒素の多い肥料をまくことも有効です。

マグロちゃん:
なるほどね。
それと今出たリン酸だとか窒素だけど、そもそも、芝生の生育に必要な成分として、窒素・リン酸・カリウムの三要素は必須と言われるよね。そして微量(中量)要素としてはカルシウム・マグネシウム・鉄等あたり。
まぁ、それぞれの解説書なんかで数多く出回っているけど、折角だからこの場でも再確認しておこうよ。

クメちゃん:
はい、分かりました(^_^;)

■窒素
芝草の生育に最も大きな役割を果たすのが窒素です。
窒素は葉色、密度、地上部生育、地下部生育、対病性、環境ストレス耐性、芝生の構成、再生能力などを通じて芝草に影響を与えます。
一般に、窒素濃度は刈高に反比例し、窒素施容量に比例するので、窒素の施肥は地上部の生育だけを刺激せず、根生育が阻害されないように計画を立てなければなりません。

■リン酸
リン酸は根の伸長を促進するので、特に芝草の生育初期には重要な成分です。
しかし、完成した芝生に対しては比較的少なくてよいとされていますが、これは①土壌中にあるリン酸は移動しにくく、②施用されたリン酸は表層にとどまり下層土のリン酸濃度が相対的に低くなり、③表層付近の根が発達し、ルートマットやサッチ集積の原因となるため、なんです。
従ってリン酸施用はコアリング(エアレーション)後に行い、なるべく深い位置に施用することが望ましいです。

■カリウム
カリウムはタンパク質やでんぷんなどの合成を促進します。
そして、植物体内での調節作用をつかさどっており、ストレスに対する抵抗性を増大させる効果が高いので、芝草を強健にし、病害中抵抗性、スパイクなどによる損傷への抵抗性を増大させます。

■カルシウム
カルシウムは植物の分裂組織の正常な発育のために必要とされており、このカルシウムが不足すると、根伸長が阻害され、病害にもかかりやすくなります。
また、カルシウムは土壌の酸性改良のためにも投与されます。

■マグネシウム
マグネシウムはクロロフィル(※)の構成物質であり、エネルギー代謝に関連する酵素の活性化を促します。
※クロロフィル・・・光合成の明反応で光エネルギーを吸収する役割をもつ化学物質。植物が太陽エネルギーを利用して、二酸化炭素から糖類を合成する光合成に不可欠な成分。葉緑素(ようりょくそ)。

■鉄
鉄は葉緑素の生成に関与します。
十分な鉄分の供給がなされていれば葉色は濃緑色を保ちますが、鉄分が不足すると芝草のストレスに対する抵抗性が弱まります。
なお、鉄はアルカリ土壌では吸収されにくくなるので、土壌のpHには十分注意する必要があります。

それと、一番大切な視点ですが、これらの肥料は芝生にとって「主食」ではなく、主食はあくまでも「光合成」だという事です。
これを人間に例えるならば、主食である「ごはん」が光合成であり、肥料を含む養分は「おかず」となるんです。

マグロちゃん:
光合成、つまり日照だね。
これについては、どっかの機会で詳しく語ろうね(笑)

クメちゃん:
あっ、最後に一つだけ、活着促進剤について言わせてください。
活着したての芝苗から出た根は小さく短いので、根の発根を促すために活着促進剤を散布します。
発根が多くなればそれだけ多くの養分を吸収できるため、早期の被覆を促し、健全な芝生にするために非常に重要な項目です。

芝生養生管理3(活着促進剤散布状況)

マグロちゃん:
なるほどね。
それと密接に関係する土壌改良についても後述しなきゃ、だよね。ではでは。

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KOFU-FIELD STAFF

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フィールドづくりのアドバイザー/設計・施工・維持管理の専門家集団、コンサルタント集団という自覚と責任をもって、お客様視点での価値ある提案を念頭に日々活動しているKOFU-FIELD STAFF。「独自の技術で独自の価値を」というスローガンのもとで「専門スキル×連携力=チーム総合力の発揮」を行動指針として事業展開に取り組む。KOFU:Kingdom of Fantastic Unit!

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