ひめの
ひめの
マグロちゃん:
今回は「スポーツターフに使われる芝種シリーズ」を皆さんにお届けしようと思うけど、もしかしたら若干「番外編」に近いかも知れないよね・・・。
今回取り上げる芝は「ひめの」、いわゆる省管理型・わい性少穂型選抜ノシバだね。
クメちゃん:
ハイ、そうですね。
スポーツターフと言っても、「ひめの」はサッカーやラグビーなどの激しいスポーツでの使用は少ないですから。でも、パークゴルフやグラウンドゴルフ、少年スポーツに使用する多目的広場の芝生も十分「スポーツターフ」という位置付けだと思います。
マグロちゃん:
そうだよね(笑)
スポーツターフと言うと、イコール「ティフトン」と考えがちだけど、用途によっては様々な選択肢もあるんだろうね。よしっ、まずは芝の分類から説明してね!
クメちゃん:
ハイ(^_^;)
暖地型芝の日本芝で、省管理型の改良ノシバです。
マグロちゃん:
そもそもティフトンより優れる点だとか、スポーツターフとして供用するニーズってどこにあるのかね!?
クメちゃん:
ハイ(^_^;)
これは以前にもお伝えしたことですが、そもそも昭和30年代にはスポーツを行うための芝生として、実はティフトン芝ではなく、主にノシバが使用されていました。
そして、スポーツ熱が盛んになるにつれ、グラウンドの使用頻度も多くなり、繁殖力旺盛な「ティフトン芝」が昭和36年頃から日本に導入されるようになり、昭和44年には国立競技場に採用されるになりました。
マグロちゃん:
あっ、そうだったね(笑)
だからサッカーやラグビーなどの激しいスポーツにおいては、今ではティフトンが主流になってるんだよね。でも管理が相当大変だよね。
クメちゃん:
そうなんですよね。
ティフトンを使用することにより管理が多くなり、且つオーバーシーディングなどを行えば更に手間がかかるといった問題もあります。
そこで、本格的なスポーツフィールドではやむを得ないとしても、それ以外のフィールドではいかに管理を簡素化できるのか、と言うのが大切な視点になっていると思います。
マグロちゃん:
そうだよね。
現実的な問題としても、公共の維持管理作業のレベルには限界もあるからね。
だからこそ、十分な管理をしなくても、そこそこの状態を維持できる芝、こんな「省管理型」の芝こそ、今の日本の公共芝地に求められるんだろうね。いかに低管理型の品種を採用するのか、だよね。
だから、最近ではそのようなニーズを満たす低管理でクオリティの高い品種に人気があるんだよね。
そして、その推奨する芝の代表格が「ひめの」となるんだよね。
「ひめの」の具体的な提案事例としては、パークゴルフ場やグラウンドゴルフ場、それに多目的広場が多いよね。
「ひめの」を使うと刈込回数が激減するけど、そのあたりも含めたところで説明してね!
クメちゃん:
ハイ(^_^;)
長くなるので、少し行間も空けながら説明しますね(^_^;)
■葉が短く、放置しても10cm以下をキープ
「ひめの」の葉の長さは、ノシバの中では群を抜いて短く、短さではコウライシバと見間違えるほどですが、葉幅が広く、がっちりした草姿でイメージはやはりノシバです。ほとんどのノシバは放置すれば草丈が20cm~30cmになり、本来が荒く大型です。しかし、「ひめの」は放置しても5cm~6cm程度で、なびいて倒れるようなことはありません。多肥栽培の圃場のほとりでも10cmを越すようなことはなく、やはり特異な短葉を保持する不思議な新芝種と言えます。「ひめの」は、コウライシバ・ノシバにもない珍しい特性を有しています。
■非常に密度の高いターフを形成
単位面積内の葉数の多さをもって緻密と言いますが、「ひめの」の葉数は群を抜いて多く、標準型ノシバの3倍以上の高密度を有します。葉数の多いコウライシバ等は本来葉巾が細く、ノシバよりはるかに葉密度の高いものですが、これはサッチング等の維持管理上の問題が残ります。ノシバの強さを持ち、コウライのような緻密さを持つ、これが「ひめの」です。
■耐寒性も抜群で春の芽立ちも良い
一般的に南西諸島方面の芝種は生育の早い特徴がある一方、耐寒性がなく、交配種では春の芽立ちが問題となる場合がよくあります。そんな中でも「ひめの」は例外的に耐寒性が強く、毎春の発芽は非常によく、安定しています。
■肥料がなくても自然に色が濃い
葉色がブルー系の日本芝はほとんど天然では存在せず、淡黄色が基調となっていますが、「ひめの」はその数少ないブルー系の濃緑色を有しており、特徴ある美しさがあります。なお、少肥で放置された場合、生育は確かに衰えますが色落ちが少ないと言う不思議な特性があります。このため他の淡黄色系の日本芝のように少肥のとき起こる色むらが目立つことがありません。年間の緑葉期間は標準ノシバよりやや長い程度であまり変わりません。休眠の葉色はオレンジの混じった淡黄色に変わります。
■穂がほとんど出ず目立たない
穂がほとんど出ないという事は「ひめの」の大きな特性で、景観を重視する芝生にとっては非常に大切であり、有用なことです。この時点こそ、見た目での芝生の優劣がはっきりとしてきます。
穂の結実は芝生にとって大きなエネルギーの消費であり、生育のためのひとつのブランクです。従って他種が一斉に出穂するこの時期でも「ひめの」の生育は継続されており、花粉による被害もありません。しかし、実際には全く出穂がないのではなく、わずかにはあります。大体標準型の30分の1(1m2あたり100/3000本)程度で、しかも穂長が短くて目立つことがありません。またこの少ない出穂も時期が標準種に比べ3週間ほど遅いことでもあり、注意していなければわかりません。
■放置しても安定して高品質
芝の安定性とは、放置(サッチングなどの更新作業をしないこと)によく耐えること、及び春の芽立ちが強く順調なこと、生育のむらや徒長がなく草丈の平均が保たれること、などをいいます。「ひめの」はこの安定性がとくに高い芝種であるといえ、これは省管理型芝生としての特性を発揮する最も重要な部分です。また、「ひめの」は生育にむらが少なく、平均した外見を保つことも安定感を与えます。
■すりきれ・踏圧への抵抗性は極強
「ひめの」は、葉が短く小さいにもかかわらず、地下部や地表のほふく茎は太く硬く、不似合いなほど丈夫です。また地下の根茎層(ライゾーム層)が厚く、従ってほふく茎が多く、発芽力も強く、緻密さ、即ち密生度が非常に高いため、他の日本芝との比較では、すりきれ踏圧に対する抵抗性が強く顕著です。適切な肥培管理が行われれば、ノシバ中最上位と思われます。また、ノシバはもともと密生度のほか、葉の硬さや強靭さも強い方ですが、その中でもひめのは最も強い部類に属しますので総合的な強健さでは日本芝(ノシバ、コウライシバ等)中、最上位に入るものです。しかし、生育は早い方ではなく、安定性のある生育を続けます。
マグロちゃん:
なるほどね。行間の美学だね、分かりやすいよ(笑)
確かに「省管理でも良好なターフの育成が可能、だから経済的な品種である」、という評価ができるよね。
パークゴルフ場やグラウンドゴルフ場、それに多目的広場なら「ひめの」の優位性が高いね!
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