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UD・バリアフリー視点での「園路」

公開日: : 最終更新日:2016/03/05 KOFUの技術・作品, UD・バリアフリー

UD・バリアフリー視点での「園路」

マグロちゃん:
「UD・バリアフリー」という視点の必要性は前回伝えた通りなので、今回はその中身についての具体論に入って行くからね。うん、先ずはUD・バリアフリー視点でみた「園路」というテーマだね。

バリアフリー新法においても明確で、各施設への移動の円滑化、安全確保などに取り組み、誰もが公園を安全かつ快適に利用できるように園路は整備されるべき、ということだよね。

ちなみに、以下の「配慮されるべき事項」がうまく要約できているよね。

■移動等円滑化園路を公園の出入口から主要な公園施設まで接続し、幼児から高齢者、車いす使用者、ベビーカー使用者、障がいを持たれている方などすべての公園施設利用者が、安全且つ円滑に移動できるようにする。

■災害や工事などで、一時的に主動線が確保できないことを勘案して、代替ルートを確保する。

オーさん:
はい、そうですね。何よりも「安全」という視点が大事だと思います。
特に亜熱帯の沖縄では、短時間での豪雨や台風、それに「暑さ」といった厳しい自然環境にも絶えずさらされているので、十二分な配慮が必要だと思います。
例えば、エントランスや園路においては水が溜まらないように透水性の高い材料を採用する、また利用用途によっては遮熱性の高いゴムチップ舗装、何よりユニバーサルデザインに配慮した材料の採用が不可欠です。

マグロちゃん
園路のバリアフリー化、ユニバーサルデザインだよね。
そうそう、バリアフリーとユニバーサルデザインの違いは前回のブログを参考にしてくださいね(笑)
では、具体的に園路がどうあるべきのか、という事について解説を頼みますね。

オーさん:
はい(^_^;)
車いす利用者などは少しの段差が生じても、体にかかる負担はとても大きいんです。そのために、園路施工後の段差が生じないように細心の注意を払わなければなりません。また、公園の園路は管理車両などが走行することによって段差やガタツキが生じることがあり、これが後々の車いすや歩行者への負担となってしまいます。

従って、これらを防止するために、インターロッキングや透水平板の目地には必ず補強板を使用するということです。この強化板を使用することにより、乗り入れ部のコンクリートが不要となり、また舗装断面の薄型化が図れるなど、経済性にも優れてくるんだと思います。

インターロッキング補強版(インターロッキング補強板)

そして、車両の乗り入れによる段差解消にも、ユニバーサルデザイン化された透水平板の採用が求められているんです。

ユニバーサルペイブ(ユニバーサルデザイン化された透水平板)

マグロちゃん:
車両によってできる段差解消、雨によるすべり対策、という視点だよね。
それがユニバーサルデザインの舗装材料、ということだね。ホント大切な事は気配りだよね。
それと、暑さ対策の視点で出ていた遮熱性についても少し触れておこうか。

オーさん:
はい、ではゴムチップ舗装を事例として説明します。
その前に、実は園路の舗装材としては、その歩行性や衝撃吸収性を考慮すると、先ほど述べた透水性平板舗装や、遮熱性の高いゴムチップ舗装が望ましいということです。

ゴムチップ舗装(ゴムチップ舗装)

そしてゴムチップ舗装ですが、これは安全性や劣化を防ぐといった品質の面から考えると、やはり国産材の使用に限ると思います。
さらに、「全層太陽光反射型カラーチップ」の採用とし、そして遮熱効果の持続性を考えると表面遮熱処理ではなく、ゴムチップ練りこみタイプとすることが大事だと思います。

マグロちゃん:
なかなか奥が深いね(笑)
あと、園路について何か配慮することがあるのかな。

オーさん:
視覚障がいを持っている人や高齢者等が公園を楽しむ場の提供や運動の一環として利用できるように、単なる園路ではなく、公園の外周には散策用園路を設けるということも有効だと思います。
そして設置される園路の外側には手すりを配置し、季節折々の草花や花壇などにより季節の花の香りを楽しめるように計画に盛り込むことも配慮だと思います。

マグロちゃん:
あっ、そうだよね。
視覚障がいを持っている人や高齢者等が公園を楽しむには「季節の花の香り」がとっても大切だよね。
では、手すりに点字表示板等を設けて草花の説明や現在位置の表示をしたり、そういった視覚障害者に対して情報の提供や安全性にも十分に配慮することだよね。

点字表示版(点字表示板)

オーさん:
手すりに関しては、沖縄の強い日差しや気温により、ステンレス製の手すり等は熱くなったり、触れられないことが多くあったりするため、手すりに使用する素材は滑りにくく、かつ温度上昇を抑えられるように配慮された商品を使用することが大事です。
また視聴覚障がい者や弱視の方に対しての安全性の考え方から、色は黄色などが望ましいと思いますね。

ユニバーサルデザインの手すり(視覚障がい者、子どもへの配慮が行き届いた手すり)

マグロちゃん:
UD・バリアフリー視点でみた「園路」だけでも実に様々な視点があるんだよね。でも公園を見た場合には、出入り口、公園内通路、階段、といったものも園路と密接に関係あるよね。
まぁ、その辺りを次回取り上げて行こうか。

 

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マグロちゃんこと加治木英隆

マグロちゃんこと加治木英隆

代表取締役社長コウフ・フィールド株式会社
「スポーツの魅力は世界共通!スポーツが日本を、そして世界を元気にする!」 1964年鹿児島生まれ。大手自動車部品メーカー、経営コンサルタント会社を経て、現在はスタジアム等のグラウンドの設計・施工・維持管理を手掛けるコウフ・フィールドのオーナー経営者。スポーツをこよなく愛し、新感覚のサッカー「ジョーキーボール」の国内普及にも奔走する。2021年7月から一年間限定でプロレス・エンターテインメント「FMWE」にも参画。プレイする楽しさ、観戦する楽しさ、そして多くの人たちに感動を与えるスポーツエンターテインメントを通じて、人と人との「繋がり」を実感してもらうことを人生ミッションとして掲げる。ニックネームはマグロちゃん。

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